2009年7月3日金曜日

日野之彦さん受賞コメント


VOCA賞/日野之彦さん 

なんとなくですが、現代人は皆、漠然とした不安を抱えているように感じます。それは将来に対する不安とか、死に対する不安というような、はっきりとした対象のわかる健全な不安じゃなくて、漠然とした正体のわからない不安です。奇妙な犯罪や大量の自殺者、家族の解体、少子化、リストラ、戦争に対する鈍さと冷めた空気、そういった事柄がわたしにそう感じさせるのかもしれません。ひきこもりとかニートと呼ばれる人が増えているようで、その人たちは突然キレて人を殺してしまう狂気を隠し持っていたりします。「今の日本人てこんな感じかな」というのが制作するときのテーマといえばテーマです。「現代の人物像」と言うと何の新しさもない使い古されたテーマですが、今のところわたしが絵を描く時の興味は、やっぱりそのへんにあるみたいです。
わたしの絵を一言で言うと「奇妙なポーズのブリーフ姿の男性」。ブリーフはひ弱な現代人の象徴だったり、おとなが持っている幼児性の象徴だったりしますが、もっと深いところでは、わたしがもっている生理的なものというかフェティシズムみたいなものが大きく関わっているように思います。ポージングに関してもそうで、やっぱり自分の感覚にすべてをゆだねているのでなかなか説明しづらいのですが、これまでのものを見てあらためて考えてみると「意味の分からないポーズ」を選んでいるようです。人物画においては、描かれた人物のポーズが必ず何かしらの意味を語ります。わたしは人物のポーズによって生じる物語性をできるだけ排除したくて、なにも語らないポーズを探しているみたいです。何も語らないポーズと何も語らない表情の“からっぽ”の人間に、少しの“狂気”を入れてあげて、わたしの絵は完成します。
技術的にはオーソドックスな油彩の技法を使っていると思います。ただ非常にしつこい。昔から絵を描くと筆圧が強いため、描いて消してを繰り返して真っ黒の絵のできあがりでした。サラリと描き上げることがどうもできません。ひたすら描いて消してをくり返すうちにキャンバスに描かれた人間が実在しているように感じてくるのです。そうやっていくうちに絵画が本来持っている崇高な輝きみたいなものが出てくるようです。



今多摩美の非常勤講師なんだね・・・・・!!!!!!!うらやまーーーーー
油画科覗きに行ったらいる????


話は変わって、今日はとても勇気が湧いた日でした。
やるっきゃねええええーーーーーーーーーーーーー

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